建設業許可が取れないケースとは?申請前に確認したい注意点

建設業許可は、申請書を提出すれば必ず取得できるものではありません。経営経験のある人がいない、営業所技術者等の資格・経験が不足している、財産要件を満たさない、欠格要件に該当するといった場合には、許可を受けられません。
また、実際には要件を満たしていても、過去の経験や常勤性を資料で証明できず、申請を進められないケースもあります。
申請前の重要ポイント!
「条件を満たしているか」だけでなく、その事実を書類で証明できるかまで確認することが大切です。
この記事で分かること
✅ 建設業許可が取れない主なケース
✅ 申請前に確認しておきたい資料
✅ 要件を満たしていても申請できない理由
✅ 実務上、見落としやすい注意点
建設業許可が取れない主なケース
建設業許可を受けるには、次のような許可要件を満たす必要があります。適正な経営体制、営業所技術者等、誠実性、財産的基礎または金銭的信用などです。さらに、建設業法上の欠格要件に該当しないことも必要です。
適用事業所に該当する場合は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険への適切な加入も求められます。
1.建設業の経営経験を持つ常勤役員等がいない
法人では、常勤役員等のうち少なくとも1人について、建設業の経営に関する一定の経験が必要です。代表取締役であれば自動的に認められるわけではありません。建設業に関する役員経験などについて、経験の内容と期間が審査されます。
よくあるのは、個人事業から法人化したものの、次のような資料が残っていないケースです。
・過去の確定申告書
・工事請負契約書
・注文書
・請求書
・法人の登記事項証明書
勤務していた会社がすでに廃業しており、在籍期間や役職を確認できない場合もあります。一定の補佐経験を利用できる制度もありますが、組織上の地位や担当業務を示す資料が必要です。単に「経営を手伝っていた」という説明だけでは、証明として不十分になることがあります。
2.営業所技術者等の資格や実務経験が不足している
許可を受ける営業所ごとに、申請する建設業種に対応した営業所技術者等を置かなければなりません。資格を持っていても、その資格が申請する業種に対応していなければ、要件を満たさない場合があります。
実務経験を使って申請する場合は、必要な経験年数だけでなく、どの業種の工事に従事していたかを確認できる資料が必要です。たとえば、請求書に「工事一式」としか記載されていない場合、具体的な工事内容を確認できず、経験の証明が難しくなることがあります。
実務上の注意点
請求書や注文書には、できるだけ具体的な工事名称や施工内容が記載されていることが重要です。
また、営業所技術者等は、原則としてその営業所に常勤し、専ら職務に従事することが求められます。他社の常勤役員や従業員である場合、遠隔地に居住している場合、別の営業所で専任を要する職務に就いている場合などは、常勤性や専任性が問題になります。
3.社会保険に適切に加入していない
健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、加入義務があるにもかかわらず必要な届出をしていない場合は、許可要件を満たしません。「従業員が少ないから加入しなくてもよい」とは限りません。
法人か個人事業か、常用従業員数、雇用形態などによって、加入義務の有無は異なります。確認されるのは、単に保険料を支払っているかどうかだけではありません。申請対象となる営業所について、適切な加入手続きが行われているかを確認する必要があります。
4.財産的基礎または金銭的信用を満たさない
一般建設業と特定建設業では、求められる財産要件が異なります。一般建設業では、一定額以上の自己資本があることや、資金調達能力があることなどを資料で示します。
決算書上の純資産が不足している場合でも、金融機関の残高証明書などによって要件を確認できる場合があります。ただし、残高証明書には有効期間があり、申請先によって確認方法が異なることもあります。
特定建設業については、下請業者の保護という観点から、一般建設業よりも厳しい財産要件が設けられています。申請直前になって財産要件の不足が判明しないよう、直近の貸借対照表を早めに確認しておくことが重要です。
5.欠格要件に該当している
申請者や役員等が建設業法上の欠格要件に該当すると、許可を受けることができません。代表的なものには、次のようなケースがあります。
・破産手続開始の決定を受け、復権していない
・一定の刑罰を受け、所定の期間を経過していない
・建設業許可を取り消され、一定期間を経過していない
・暴力団員等に該当する
・申請書に重要な虚偽記載がある
確認の対象になるのは、代表者だけではありません。法人の役員、支店長、相談役、顧問など、会社の経営に実質的な影響力を持つ人が対象となることもあります。
過去の経歴について判断に迷う事情がある場合は、隠して申請するのではなく、事前に確認することが重要です。
6.営業所としての実態が認められない
建設業法上の営業所は、単なる登記上の所在地や郵便物の受取場所ではありません。建設工事について、見積り、入札、契約締結などを継続的に行う事務所としての実態が必要です。
次のような場合には、営業所として認められるか慎重な確認が必要です。
・バーチャルオフィスを利用している
・他社の事務所と明確に区分されていない
・賃貸借契約書などで使用権限を確認できない
・机、電話、パソコンなどの事務設備がない
・看板や案内表示がなく、独立した事務所と確認できない
申請時には、賃貸借契約書、事務所の写真、案内表示、電話や机の設置状況などを確認されることがあります。必要な確認資料は、申請先によって異なります。
「要件不足」と「証明資料不足」は分けて考える
実際に要件を満たしていても、申請先が確認できる資料がなければ、申請を進めることが難しくなります。
「経験があること」と「経験を証明できること」は別の問題です。
行政書士が事前調査を行う際は、役員履歴、過去の勤務先、許可を取りたい業種、工事実績、社会保険の加入状況、決算内容などを時系列で整理します。そのうえで、次のような資料を照合します。
・登記事項証明書
・確定申告書
・工事請負契約書
・注文書や請書
・請求書
・資格証明書
・健康保険や厚生年金の関係資料
経験年数だけを口頭で確認して申請準備を始めると、後から証明できない期間が判明し、予定していた時期に申請できないことがあります。
申請前に確認しておきたい注意点
まず、許可を取りたい建設業種を正確に特定することが重要です。実際の工事内容と申請業種がずれていると、営業所技術者等の資格や実務経験を使えない場合があります。
次に、常勤役員等と営業所技術者等について、現在の勤務状況だけでなく、次の点も確認します。
・他社役員や従業員との兼任
・実際の勤務場所
・社会保険の所属先
・自宅から営業所までの通勤距離
・別の営業所や現場での専任状況
過去の経験を利用する場合は、会社名、役職、在籍期間、担当していた工事業種を一覧にし、その期間を裏付ける資料が残っているか確認すると効率的です。
実際の判断は、役員構成、契約内容、工事実績、営業所の状況、申請先の運用によって異なる場合があります。申請書を作成する前に、許可要件と証明資料の両方を確認することが、スムーズな申請につながります。
まとめ
建設業許可が取れない主な原因は、経営体制、営業所技術者等、社会保険、財産要件、誠実性、欠格要件、営業所の実態のいずれかに問題があることです。ただし、法律上の要件を満たしていないのではなく、過去の経験や常勤性を証明する資料が不足しているため、申請できないケースもあります。
申請前に確認したい3つのポイント
① 許可を受けたい業種は正しいか
② 人員・財産・営業所の要件を満たしているか
③ その事実を証明する資料がそろっているか
申請準備を始める際は、担当者の経験と資格、財務内容、社会保険の加入状況、営業所の実態を、資料とともに確認しましょう。
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