建設業向け補助金「建築GX・DX推進事業」とは?制度の概要を紹介

建設業界では、人手不足への対応や業務効率化に加え、建築物から排出されるCO₂の削減が大きな課題となっています。こうした建設業界のDXと脱炭素化を支援する制度として、国土交通省が実施しているのが「建築GX・DX推進事業」です。
この補助金では、建築BIMを活用した設計・施工や、建築物のライフサイクル全体におけるCO₂排出量の評価に必要な費用の一部が補助されます。
大規模な建築プロジェクトだけでなく、小規模な建築や改修プロジェクトも対象となるため、中小の建設会社や設計事務所も活用を検討できる制度です。
建築GX・DX推進事業の目的
建築GX・DX推進事業は、次の2つの取組を一体的に支援する補助金です。
✓ 建築BIMの活用による業務効率化・生産性向上
✓ 建築物のLCCO₂評価によるCO₂排出量の削減
GXとは「グリーントランスフォーメーション」の略で、脱炭素社会の実現に向けて事業や社会の仕組みを変えていく取組を指します。
DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、デジタル技術を活用して業務の進め方や事業の仕組みを変革する取組です。
建築GX・DX推進事業では、建築物の設計・施工にBIMを活用するとともに、建物の建設から使用、解体までに排出されるCO₂を把握し、建設業界の生産性向上と脱炭素化を進めることを目的としています。
補助対象となる2つの取組
この事業には、大きく分けて「BIM活用型」と「LCCO₂評価実施型」があります。
BIM活用型
BIM活用型は、元請事業者、設計事務所、施工会社などの複数の事業者が連携し、建築BIMデータを作成・活用するプロジェクトを支援するものです。
BIMとは、建物の形状を3次元で表現するだけでなく、使用する建材、設備、数量、コスト、工程などの情報を一つのデータにまとめて管理する仕組みです。
設計者と施工会社などが同じBIMデータを共有することで、設計変更への対応や干渉チェック、施工管理などを効率化できます。
補助対象となる主な経費には、次のようなものがあります。
✓ BIMソフトウェアの利用費
✓ 共通データ環境の構築・利用費
✓ BIMデータの作成費
✓ BIMコーディネーターやBIMモデラー等の人件費
✓ BIMに関する講習費
✓ BIM活用によって追加で必要となる設計費・建設工事費
補助率は、原則としてBIMを活用することによって増加した費用の2分の1です。補助上限額は、建築物の延べ面積やプロジェクトの内容などによって異なります。
LCCO₂評価実施型
LCCO₂評価実施型は、建築物のライフサイクル全体におけるCO₂排出量を算定・評価する取組を支援するものです。
LCCO₂評価では、建材の製造、運搬、施工、建物の使用、改修、解体、廃棄など、建築物の一生を通じて排出されるCO₂を計算します。
補助対象となる主な経費は、次のとおりです。
✓ LCCO₂評価を行う担当者の人件費
✓ 評価業務の外部委託費
✓ 評価ツールやデータベースの利用費
✓ 第三者による検証費用
✓ CO₂原単位の策定・公開に必要な費用
LCCO₂評価の実施費用については、一定額を上限とする定額補助が設けられています。また、一定の要件を満たせば、BIM活用型とLCCO₂評価実施型を組み合わせて申請できる場合があります。
対象となる事業者と主な条件
全国の建設会社、設計事務所、専門工事業者、不動産開発会社などが対象となる可能性があります。会社の従業員数による一律の制限は設けられていません。
想定される事業者には、次のようなものがあります。
✓ 総合建設会社・元請事業者
✓ 建築設計事務所
✓ 専門工事業者・下請事業者
✓ 不動産開発会社・建築主
✓ BIM導入やLCCO₂評価を支援する事業者
ただし、BIM活用型は、原則として複数の事業者が連携して取り組むことが必要です。代表事業者だけがBIMを利用するのではなく、設計者や施工者などの関係事業者が、どのようにデータを作成・共有・活用するのかを具体的に整理しなければなりません。
また、対象となる建築物についても、省エネルギー基準への適合など、一定の要件があります。
申請期間と手続きの注意点
令和8年度の主な受付期間は、次のとおりです。
| 手続き | 受付期間 |
|---|---|
| 代表事業者・事業者の登録 | 2026年4月7日~12月31日 |
| プロジェクトごとの交付申請 | 2026年7月1日~9月30日 |
この補助金を利用するためには、最初に代表事業者または事業者としての登録を行い、その後、対象となるプロジェクトごとに交付申請を行います。
登録が完了しただけでは、補助金の交付が決定したことにはなりません。プロジェクトごとの交付申請について審査が行われ、要件を満たすと認められた場合に交付決定を受けます。
また、補助対象となるのは、原則として代表事業者等の登録が完了した日以降に発生した費用です。登録前に契約や発注、支払いなどを行った費用は対象外となる可能性があるため、事業を始める前にスケジュールを確認する必要があります。
交付申請の受付期間内であっても、申請額が予算の上限に達した場合には、受付が早期に終了する可能性があります。
申請を検討する際のポイント
建築GX・DX推進事業は、単にBIMソフトを購入するための補助金ではありません。
どの事業者がどのデータを作成するのか、データをどのように共有するのか、設計や施工のどの場面で活用するのかなど、具体的な連携体制を示す必要があります。
申請を検討する際は、少なくとも次の点を早めに整理しておきましょう。
✓ 対象となる建築プロジェクトの内容
✓ 代表事業者と連携事業者の役割分担
✓ 使用するBIMソフトや共有方法
✓ BIMによって追加で発生する費用
✓ LCCO₂評価を行う主体と評価方法
✓ 契約・発注・支払いの予定時期
✓ GビズIDの取得状況
申請は原則として電子申請システム「jGrants」を利用して行うため、GビズIDを取得していない事業者は、早めに準備しておくことが重要です。
まとめ
建築GX・DX推進事業は、建築BIMの導入・活用による生産性向上と、建築物のLCCO₂評価による脱炭素化を支援する補助金です。
大規模な新築工事だけでなく、小規模な建築や改修プロジェクトも対象となる可能性があり、中小の建設会社や設計事務所でも活用を検討できます。
一方で、複数事業者による連携体制や対象建築物の要件、補助対象経費の区分など、申請前に確認すべき事項が多い制度です。
特に、代表事業者等の登録日より前に発生した費用は補助対象外となる可能性があるため、BIMの導入やLCCO₂評価、対象プロジェクトの実施を予定している場合は、契約や発注を進める前に制度の要件を確認しましょう。
※本記事は2026年7月17日時点の公表情報をもとに作成しています。補助対象経費、建築物の要件、補助上限額などはプロジェクトによって異なるため、申請時には必ず最新の募集要領・交付申請マニュアルをご確認ください。
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