経営事項審査の点数を上げるには?決算前に確認したい対策

経営事項審査(経審)の点数を上げたいと考えたとき、結果通知書を受け取ってから対策を始めても、すぐに次の評価へ反映できるとは限りません。
経審の多くの項目は、決算日である「審査基準日」時点の会社の状況や、確定した決算書の数値をもとに審査されるからです。
そのため、効果的な対策を行うには、決算が確定する前に現在の点数を試算し、どの項目を改善できるのか確認しておく必要があります。
この記事では、P点の構成や個別の評価項目の説明ではなく、決算前に行いたい経審対策の進め方を実務の流れに沿って解説します。
この記事で分かること
✅ 経審対策を決算前に行う理由
✅ 前回の結果通知書から確認するポイント
✅ 決算前の試算で比較したい内容
✅ 税理士や社内担当者と共有したい情報
1.最初に「何点上げたいか」を明確にする
経審対策を始めるときは、単に「できるだけ高い点数を取りたい」と考えるのではなく、公共工事の受注方針を明確にすることが大切です。
入札参加資格の格付けや等級は、経審のP点だけで決まるとは限りません。発注機関によっては、工事成績、地域貢献、施工実績などの独自項目を加えて総合点数を算出します。
まずは、次の内容を確認しましょう。
・参加を希望する国
・自治体登録を希望する工事業種
・現在の等級と目標とする等級
・等級ごとの予定価格や発注案件
・経審以外に加算される発注者別評価
点数が上がって等級が変わると、参加できる案件の範囲が変わる場合があります。一方で、現在の会社規模や施工体制に合った等級を維持した方が、受注機会を確保しやすいケースもあります。
自社に必要な点数を把握したうえで、経審対策の優先順位を決めることが重要です。
2.前回の結果通知書を現在の状況と比較する
次に、前回の経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書を確認します。
結果通知書を見るときは、P点だけを前年度と比較するのではなく、その計算の基礎となった数値に変化がないかを確認しましょう。
例えば、前回の審査後に次のような変化があれば、次回の点数が動く可能性があります。
・売上や利益が増減した
・借入れや設備投資を行った
・増資や役員報酬の変更があった
・新たに従業員を採用した
・退職者や資格取得者がいる
・公共工事の元請実績が増えた
・前回だけ評価された項目がなくなった
経審では、前年度に取得できた点数が翌年度も自動的に維持されるわけではありません。証明書の有効期限や対象期間が定められている項目もあるため、加点項目だけでなく、失う可能性がある点数も確認する必要があります。
実務上のポイント!
前回のP点より高くなるかどうかだけではなく、「どの項目が上がり、どの項目が下がるのか」を分けて確認すると、必要な対策が見えやすくなります。
3.決算前に複数の条件で点数を試算する
決算前の経審対策では、決算見込みの数値を使って点数を試算します。
この段階では決算が確定していないため、一つの数字だけで計算するのではなく、複数の条件を想定して比較する方法が有効です。
例えば、次のような試算が考えられます。
| 試算する条件 | 確認する目的 |
|---|---|
| 現在の決算見込み | 何も変更しない場合の点数を把握する |
| 売上や利益の見込みを変更 | 業績の変化による影響を確認する |
| 設備投資や借入れを実施 | 財務数値への影響を確認する |
| 工事の完成時期を確認 | 当期の完成工事高に含まれるか確認する |
ただし、経審の点数だけを目的として、取引の実態と異なる処理を行うことはできません。工事が完成した時期や売上を計上する時期は、契約内容、工事の進捗、会計処理の基準などに従って判断する必要があります。
また、設備投資や借入金の返済は、経審の点数だけでなく、資金繰りや事業計画にも影響します。試算結果は、経営判断を行うための材料の一つとして活用しましょう。
4.決算前に工事資料と会計資料を照合する
建設業者の決算では、会計上の売上高と、経審で使用する完成工事高の整理が重要です。
決算後に工事資料を確認すると、工事名や工事内容が不明確であったり、工事台帳と請求書の金額が一致しなかったりすることがあります。その状態では、決算変更届や経審の準備に時間がかかります。
決算前には、少なくとも次の資料を照合しておきましょう。
- 工事台帳
- 工事請負契約書・注文書
- 請求書
- 入金記録
- 未成工事の一覧
- 外注費や材料費の記録
- 会計ソフトの売上データ
特に、決算日をまたいで施工する工事については、完成済みの工事と施工中の工事を正しく区分する必要があります。
工事件数が多い会社では、工事台帳に「工事業種」「元請・下請」「完成日」「請負金額」などの欄を設け、日頃から管理しておくと、決算後の集計がしやすくなります。
5.税理士・社内担当者と早めに情報を共有する
経審対策を円滑に進めるには、経営者だけで判断するのではなく、経理担当者、工事担当者、税理士、申請手続きの担当者が情報を共有することが大切です。
税理士が作成する決算書は、税務申告を目的としています。一方、経審では、決算書の数値に加えて、工事の種類、元請・下請の区分、技術者の状況など、建設業特有の情報が必要です。
そのため、税理士へ決算資料を渡す際には、次の内容も併せて共有しておくとよいでしょう。
・今年度も経審を受ける予定であること
・決算前の経審試算を行っていること
・大きな設備投資や借入れの予定
・完成工事と未成工事の区分
・兼業売上がある場合の内訳
・入札参加資格申請の受付時期
決算が確定した後に数字の修正が必要になると、税務申告や決算変更届にも影響する可能性があります。決算日の2~3か月前を目安に、関係者との確認を始めると安心です。
まとめ
経営事項審査の点数を上げるためには、申請書を作成する段階ではなく、決算前から準備することが重要です。
まずは、希望する発注機関や目標とする等級を確認し、自社に必要な点数を明確にします。そのうえで、前回の結果通知書と現在の会社状況を比較し、決算見込みの数値を使って次回の点数を試算しましょう。
また、工事台帳と会計資料の照合や、税理士・社内担当者との情報共有も欠かせません。経審の点数だけを優先するのではなく、資金繰りや今後の受注方針を含めて検討することが大切です。
経審の審査基準や申請書類は制度改正によって変更されることがあります。特に大阪府では、令和8年7月1日施行の制度改正に合わせて手引きや様式が改定されています。申請時には、最新の大阪府「経営事項審査の申請・証明等」などを確認しましょう。
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