建設工事で発生した産業廃棄物は誰が運搬できる?元請・下請の注意点を解説

建設工事や解体工事では、がれき類、木くず、廃プラスチック類、金属くずなど、さまざまな産業廃棄物が発生します。
実際の作業を下請業者が担当している場合、「工事を行った下請業者が、そのまま廃棄物を処分場まで運んでもよいのでは」と思われるかもしれません。
しかし、建設工事で発生した産業廃棄物は、原則として元請業者が排出事業者となります。下請業者が運搬する場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要になるため注意が必要です。
この記事では、建設廃棄物を運搬できる事業者と、元請・下請それぞれの注意点を解説します。
この記事で分かること
✅ 建設廃棄物の排出事業者になるのは誰か
✅ 元請業者が自ら運搬する場合のルール
✅ 下請業者が運搬する場合の許可の考え方
✅ 委託契約書やマニフェストに関する注意点
1.建設廃棄物の排出事業者は原則として元請業者
建設工事に伴って発生した産業廃棄物については、発注者から直接工事を請け負った元請業者が、原則として排出事業者になります。
例えば、元請業者が解体工事を受注し、実際の解体作業を下請業者へ任せた場合でも、廃棄物の処理責任を負うのは基本的に元請業者です。実際に廃材を取り外した下請業者が、自動的に排出事業者になるわけではありません。
元請業者は、廃棄物の分別、保管、収集運搬、処分が適正に行われるよう管理し、最終処分が完了するまで処理状況を確認する必要があります。
| 工事関係者 | 建設廃棄物に関する基本的な立場 |
|---|---|
| 発注者 | 建設工事を元請業者へ注文する |
| 元請業者 | 原則として排出事業者になる |
| 下請業者 | 工事を施工しても、原則として排出事業者にはならない |
| 処理業者 | 元請業者から委託を受けて運搬・処分を行う |
産業廃棄物の処理を他の事業者へ委託しても、元請業者の排出事業者としての責任がなくなるわけではありません。
2.元請業者が自ら運搬する場合は許可不要
排出事業者である元請業者が、工事現場で発生した産業廃棄物を自社の車両と従業員によって処分場まで運搬する場合は、「自ら運搬」に当たります。
元請業者が自社の産業廃棄物を自ら運搬する場合、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可は必要ありません。
ただし、許可が不要でも、次のような収集運搬基準を守る必要があります。
- 廃棄物が飛散・流出しないように運搬する
- 運搬車両の両側面に必要な表示を行う
- 運搬する廃棄物の種類などを記載した書面を携行する
- 廃棄物の種類に対応した許可を持つ処分場へ運ぶ
元請業者の名前で処分費を支払っていても、実際には下請業者の車両と従業員が運搬している場合、元請業者による自ら運搬とは認められません。
運搬する人や車両が誰に所属しているかまで確認することが重要です。
3.下請業者が運搬する場合は原則として許可が必要
下請業者が建設廃棄物を運搬する場合は、排出事業者である元請業者から運搬を委託されたことになるため、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
建設業許可を持っていても、産業廃棄物を運搬できるとは限りません。建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可は、別の制度です。
| 運搬するケース | 収集運搬業許可 |
|---|---|
| 元請業者が自社の車両・従業員で運搬 | 原則不要 |
| 許可を持つ下請業者が運搬 | 許可範囲内で可能 |
| 無許可の下請業者が通常の建設廃棄物を運搬 | 原則不可 |
| 法令上の例外条件を満たす下請業者が運搬 | 例外的に可能な場合がある |
下請契約書に「廃材処分費を含む」と書かれている場合や、運搬する廃棄物が少量の場合でも、当然に無許可で運搬できるわけではありません。
一定規模以下の修繕工事などでは、工事の種類、請負金額、運搬量、運搬先、書面の携行などの条件をすべて満たすことで、下請業者が例外的に無許可で運搬できる場合があります。
ただし、「軽トラック1台分だから大丈夫」「近くの置場まで運ぶだけだから問題ない」と自己判断するのは危険です。例外に該当するか分からない場合は、運搬前に管轄自治体へ確認しましょう。
また、元請業者が収集運搬や処分を委託する場合は、許可業者と書面で委託契約を締結し、廃棄物を引き渡す際に原則としてマニフェストを交付します。
許可証についても、有効期限だけでなく、許可地域や取り扱える産業廃棄物の種類まで確認することが大切です。
まとめ
建設工事で発生した産業廃棄物は、原則として元請業者が排出事業者となります。
元請業者が自社の車両と従業員で運搬する場合、産業廃棄物収集運搬業の許可は原則不要ですが、車両表示や書面の携行などの基準を守らなければなりません。
一方、下請業者が運搬する場合は、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。少量の廃棄物であっても、無許可で運搬できるとは限りません。
元請業者は廃棄物を現場から搬出する前に、誰が運搬するのか、必要な許可があるか、委託契約書やマニフェストをどのように管理するかを確認しておきましょう。
※許可の要否や例外規定の適用は、工事内容や運搬方法によって異なります。実際に運搬する前に、管轄自治体または専門家へ確認することをおすすめします。
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