事業譲渡後の経審はどう受ける?実績の引継ぎと注意点

建設業の事業譲渡を受けたとき、「前の会社の工事実績を経審に使えるのか」と迷うことがあります。経審とは、公共工事を直接請け負う建設業者の経営規模や技術力などを評価する審査です。
事業の引継ぎ方によっては、過去の実績を反映した審査を受けられます。ただし、契約を結べば以前の点数がそのまま移るわけではありません。譲渡する事業の範囲と、譲渡後の経営体制を確認することが出発点です。
この記事で分かること
✅ 経審で実績の引継ぎが認められる考え方
✅ 譲渡時経審を受ける時期と審査基準日
✅ 譲渡する側・受ける側で準備する資料
1.経審の実績引継ぎは事業の譲渡範囲で判断する
国の通知では、建設業の全部譲渡のほか、業種別・地域別に営業所や従業員などを一括して引き継ぎ、企業評価の全部または一部を承継させるべきと考えられる場合が対象とされています。機械や車両を買い取っただけで、売主の工事実績まで当然に使えるとはいえません。
完成工事高、つまり完成した工事の売上高などは、所定の方法で算定します。両社の総合評定値(P点)を足す制度ではなく、譲渡後の実態に応じた評価です。契約書と事業の引継ぎ一覧を照合し、どの業種・営業所・人員・資産などが対象か整理してください。
取扱いの根拠は、国土交通省「建設業の譲渡に係る事務取扱い」の経営事項審査関係の項目で確認できます。
2.譲渡時経審は最初の決算前でも受けられる
対象となる事業譲渡では、譲渡後最初の決算を待たずに「譲渡時経審」を申請できます。審査基準日とは、経営状況などを判定する基準となる日です。
| 事業を受ける側 | 審査基準日の考え方 |
|---|---|
| 新たに設立される法人 | 設立登記日 |
| それ以外の事業者 | 契約上の譲渡期日以降で、新たな経営実態が備わったと認められる日 |
既存会社では、契約締結日をそのまま基準日にするとは限りません。実際の事業移行日や従業員の引継ぎ状況も整理し、申請先と日程を確認します。
また、国の通知では、受ける側が譲渡時経審を申請するときは、譲渡する側も同時に申請する取扱いです。受ける側だけで準備を進めず、双方の手続を調整することが大切です。
3.必要書類は譲渡契約書と両社の資料をそろえる
大阪府では、通常の申請書類に加え、次のような資料が必要です。自社の決算書だけで申請できると考えず、譲渡する側から受け取る資料も早めに確認してください。
| 主な資料 | 確認・準備する内容 |
|---|---|
| 事業譲渡契約書の写し | 譲渡対象と譲渡期日 |
| 財務諸表 | 審査基準日前日の資料、両社の数値を合算した資料など |
| 工事経歴書・施工金額の書類 | 譲渡後の事業範囲を反映した両社の資料 |
| 技術職員の雇用資料 | 所定期間の継続雇用と常時雇用を示す書面 |
| 財務諸表の適正証明 | 公認会計士または税理士による証明原本 |
新設法人の登記事項証明書や、直前の経審の受審状況に応じた消費税関係資料なども必要になります。財務諸表の作成方法は、財務内容を分析する登録経営状況分析機関とも調整します。
具体的な対象期間や追加書類は、大阪府「経営事項審査申請の手引き」で確認できます。
4.事業譲渡後の経審でよくある質問
Q.引き継いだ業種だけ譲渡時経審を受ければよいですか?
国の通知では、公共工事を請け負う可能性のあるすべての業種について受審する取扱いです。譲渡対象の業種だけでなく、自社が従来から受注している業種も含めて確認します。
Q.最初の決算まで待てば、譲渡関係の資料は不要ですか?
不要にはなりません。大阪府では、譲渡時経審を受けずに最初の決算後の経審を申請する場合も、譲渡に関する必要書類の提示・提出を求めています。資料は譲渡時から確保しておきましょう。
まとめ
事業譲渡後の経審は、引き継ぐ事業の範囲と、新たな経営実態を資料で示すことが重要です。過去の点数を引き継ぐという理解ではなく、譲渡後の体制に合わせて評価を受けると考えましょう。
まずは契約書を基に、対象業種、移行日、両社が用意する資料を一覧にしてください。そのうえで審査基準日と申請日程を調整すれば、資料不足による手戻りを防ぎやすくなります。
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